アスファルトで出来たタフィーを
ほおばってしまったようなものだ

その哀しみを
その痛手を

噛みしめる必要なんて
どこにも無い

だた吐き出せばいいだけだ
ゴミバケツの中へ

(あるいは生コンクリートで出来た
 ソフトクリームを
 舐めてしまったようなものだ。)

君のスイーツは
そんなもので出来ているわけがない
そうだろう?


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ジャンル: 小説・文学




悲痛な叫びさえも
その魂には届かなかった。
乾いた微笑みをたたえながら
ただうすらぼんやりと浮いている。

激情の罵声すらも
その魂には届かなかった。
調子の外れたハミングを
ただ垂れ流して転がっている。

どうか救いを

無に囚われながら
無に帰することも出来ずに
雑音と
雑念を
撒き散らす この
憐れで矮小な この
わたくしと云う名の
魂を

どうか

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ジャンル: 小説・文学

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君にガラスの靴を贈って
真っ赤な林檎を囓らせ
茨の城に眠らせて
キスをして目が覚めたら
さあこの薬を飲んで
その声を潰すんだ

そう

僕だけの
僕だけのお姫様を
仕上げるんだ

(山積みの絵本に
 お話のソノシート)

ああ 嬉しいな

僕だけの
僕だけのお姫様。





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ジャンル: 小説・文学




蛍光灯が明滅する
廊下の突き当たりで
飲んだ
紙コップの珈琲の
熱さ。

深夜の焦燥と不安

どうか

と祈りながら
珈琲で
流し込んだ。

どうか

と。

それは会社の
あるいは病院の
もしくは空港なんかの
一角で

(とある宗教では祈りと珈琲は一対だった。)

熱く胸に染みわたる
珈琲に
自罰を重ねて

後悔も反省も
ミルクと砂糖で
蕩かして

どうか

と。

吐いた溜息に薫る
珈琲は
失意と希望を漂わせて。



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おやすみを言う前に
ホットミルクで舌先を火傷をした。

おやすみを言う前に
テレビは青白い光を仄暗い部屋に投げていた。

おやすみを言う前に
蛇口の水滴はバスタブに落ちていった。

おやすみを言う前に
ガード下の空缶は風に転がっていった。

おやすみを言う前に
街灯は工事する男達を照らしていた。

おやすみを言う前に
黒い犬は、そっと笑った。

そう、おやすみを言う前に。


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ジャンル: 小説・文学

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王様の耳はロバの耳だなんて
叫ぼうにも
井戸がなかったので
僕は
やむなく
ポリバケツの中へ
叫んでみた

(衝撃の事実というやつを)

翌朝

定刻通りにポリバケツの中身は
処理場へと運ばれていった。

(処理場の煙突から
 立ち上る
 煙の行く末は
 果たして)

彼の理髪師が
最後にどうなったのかは
もう覚えてはいない
けれど


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ジャンル: 小説・文学


長い信号待ちだった。

寒空に
コートの襟を立てて
今日の
失敗だとか
失念だとか
そんな物を振るい落としながら

(青信号に流れ出す雑踏が
 そんな物は全て
 流し去ってくれるだろう)

どうか迷わず
家路へ



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ソファの上に
横たわった
絶望が
ヒステリックに
カレンダーを
捲る時

空欄の続く
日付を黙認し
回転椅子へと
身を投げた
木曜日の朝

(その時
 缶コーヒーの中身は
 確かに空だった)

割れた腕時計の
文字盤のガラス片を
丹念に拾い上げて
ただ笑うように。

そんな残念さを
君は
僕にくれたのだった。




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ジャンル: 小説・文学


縫い閉じられた唇が
かたちづくる笑顔は
そう無気力なものでもない

ホチキスで閉じられた瞼が
流す涙は
必ずしも無温度でもない

鉛で閉じられた耳が
そばだてる音は
けして無音でもない

(頭蓋骨を凌駕して
 浸透してくる
 思想よ
 湧き上がる
 思考よ
 どうかこの夜は
 反逆せずに
 静かに眠れかしと)

薬で閉じられた心が
思う感情は
やはり無感動なものでもない


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ジャンル: 小説・文学




空っぽになった ビールジョッキは
大人しくテーブルの上へ

(それは果たして鈍器ではない)

口元の泡は
ネクタイで拭き取って
マナー違反のボーダーを問う。

けして、

踏み割られた眼鏡を
愛し続けることが
間違ってはいないように

(駆け抜けろ荒野を
 咆吼せよ海原に)

プラットホームに
転がる暴力は
ハンカチで包んで
ポケットへ

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ジャンル: 小説・文学

コーヒーカップの底に
(青空ばかりを詰め込んで)
残った雲の染みのような

そんな

後悔をして君は

君は

晴れ晴れとした顔を
上に向け
歩き始める。

(その足元の影までが
 まるで君を祝福し)

点々と垂れる
血の跡も
振り返らず

(けれどそれは
 君の軌跡でもあり)

ただ真っ直ぐに
歩いて行くのだ。

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盗まれたものは
たぶん
他の誰かの盗まれたものと
たぶん
公園のベンチなんかで
たぶん
ひなたぼっこでもしているに違いない

(やさしい盗人は
 そっと盗み取って行く
 穿かれてしまった心だとか
 欠けてしまった夢だとか
 そんなものを)

あたたかな陽の光をうけて
盗まれたものは
たぶん
きらきらとかがやいている
たぶん

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Profile

羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師
Twitter→羽島貝@hajima_kai

中年が詩を綴る日々。

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