楽園

Category : 現代詩






もしも自分の住んでいる場所が楽園で
ささやかなりとも所有する事象があるのならば。
確かに変化などは生きてゆく上で必要ないだろう。

だがもしも、自分の住んでいる場所が地獄で
何一つ持ち物と呼べるような物すらを、持っていなかったとしたならば。
変化を起こす以外に、生きてゆく術はない。

失うことを恐れると言うことは

幸いなる哉。

それはお前の横にあるということだ。











テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学




触るなと云って振り払った僕の右腕が
肩からすっぽりと抜け落ちてしまった。
慌てて残る左腕で落とした腕を抱え上げたのだが
通る人が皆こちらを向くので
恥ずかしくてしかたがない。
路上で僕は外れた腕を抱えながら赤面していると
ああ なんてことだ。

この拾い上げた腕も、左腕だ。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

疾走する

Category : 現代詩






成り立たなかった謝罪が
後から僕を追いかけてくる。
この狭く長い路地裏を
随分の間走ってきたのだが
脇道が見つからない

それはすでに
お前の手をはなれた時点で
諦めなければならないことだったのだ

頭上の鳥が云った。

馬鹿なお前は鳥ではないか
と僕が云うと
鳥は友になった。

「雨の日の路上に落ちているグズグズの新聞紙は社会の吐瀉物だ」

与えられなかった宥恕を求めて
カラスと野良犬を蹴散らし
ポリバケツに頭を突っ込む
その臭気!
顔面を両手で覆い思わず天を仰ぐほどだったが
(両膝はアスファルトに跪いている)
カスすらそこにはこべりついていなかった。

まだ追ってくるのは成り立たなかった謝罪
両脇に道は無く
鳥である友は耳の後ろをバサバサと羽ばたいて
僕はもう全身がゴミ臭く
いつのまにやら
片腕をカラスに
片足を野良犬にやってしまっていた。

「だから聞かないで欲しい」

知らないのだ。
キリエ・エレイソンと唱えた坊主が
救われたかどうかなど。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描 IX

Category : 素描









あなたが笑っている
あなたは花ではないのに
笑っているあなたは
まるで花だ。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学





自ら胸に突き立てた
バターナイフから迸る血が生臭い。

テーブルクロスでいくら拭いても
赤いその血はショッキングピンクにはならない。

(食器も花瓶もみんな床の上へと払い落としたのに)

役立つことが何もない。

(まるでスープに添えられたフォーク!)










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

白と黒

Category : 現代詩




嘘が罪だというのならば
なんと優しい罪なのだろうかと

愛が善だというのならば
なんと苦しい善なのだろうかと

思ったことはありませんか










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

白い枠

Category : 現代詩






心が痛むのは
こんなにも
心が痛むのは
きっと僕の嘘の数だけ
俗っぽい天使になじられているからに違いない










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

黒い枠

Category : 現代詩



伝わって欲しいことだけが
伝わらない。
もしかするとそれは
偽りばかりを吐いてきた僕への
熱烈な断罪であるのかもしれない。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描 VIII

Category : 素描









夜。
鳥。
電光看板。
バスを待つ人の列。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学






神が、自ら助けるものを助くように

「愛はいらない」
と叫んだ安っぽい女の
その白くもない首筋に唇を押しあてろ。

いつでも誰かに与えてしまった影響に怯える
自意識過剰な頭を突っ込め
「僕が彼を堕落させた」
と枕のしたに、さあ。

「少しずつ誰もが似たり寄ったりになっていくのは
 理想郷の融合の一つだ」
と個性の画一化に言い訳する学者に
なびりつけた焼きマシュマロの旨さと。

そして

以上の三項目から
自我を救えなかった人間に
与えられるゲヘナの夢を見た僕。

(ジェットパフのチョコマシュマロなら僕は焼かない方がいい)

抱くなら神のように。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学






「あ」と
小さな悲鳴を上げて
彼女は
駅の馬鹿長い階段の最上段から
見事に転がり落ちたんだ。

そんな彼女を救うのは

この僕が

(この僕に
 この僕こそ
 この僕だけが)

この愛で

(この愛は
 この愛さえ
 この愛ならば)

きっと彼女を救ってみせると

(そうとも僕は彼女を愛してる)

それなのに君ときたら
派手にもんどうりうってみせて

(頭からベッシャリと
 濡れた音を立てて着地して)

嗚呼 なんて僕に恥をかかせるんだ。

(みっともない吐瀉物みたいに
 そこら一面に顔を散らかして)

僕はこう問おう
君は僕のことを愛してはいなかったのか、と。









テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

強く探している。
氏の詩をたった3つほど
偶然グラビアで見かけて切り抜き、
以来ずっと探しているのだが見つからない。
どなたか情報をお持ちでしたらぜひ、ご一報下さい。
切に。
『草光零太郎』
魅了してやまない詩人。

テーマ: 詩・想
ジャンル: 小説・文学






プラットホームに
舞い落ちてきた雪は
幻想的だろう?

スノウマン!

けれどニューヨークの
路上生活者にとって
それは危機的なピンチというやつ
なんだろう?

スノウマン!
だけどお前の口は開かない。

お前を形づくるものが
奪ってきた命と
与えてきた夢との
圧倒的な質量差は

君の肩に舞い落ちた
ひとひらの雪片が
瞬時に溶けてゆくさまのようで

お前自身と
僕が吐く息との
相対的で絶対的な白さに
どうかチャンスを!









テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

衣更着信を愛し
嵯峨信之を愛し
中井英夫を愛し
寺山修司を、時にアレン・ギンズバーグを愛し
鈴木志郎康を愛し
吉原幸子を愛し
高野喜久雄を愛し
鮎川信夫を愛し
田村隆一を愛し
八木重吉を愛し
高村光太郎を愛し
草光零太郎を愛し
マザーグースや、不思議の国や鏡の国なんかの挿入詩を
(つまりはルイス・キャロルらのナンセンス詩を)
愛している。



そしてあなたの詩を。



-----------------------------------------------------------------------------------
※当ブログに掲載されている詩は、おおむね紙面でも発表されているため著作権が発生しています。
著作権の発生している発行年に関しては、各刊行書籍や詩誌をご参考ください。
書籍における引用、転載に際しては法定の記載方法にてよろしくお願い申し上げます。
©2012- Hajima,kai All Rights Reserved.



テーマ: 詩・想
ジャンル: 小説・文学

素描 VII

Category : 素描









蹴躓き倒れこんだ泥の中から
汚泥まみれの頭を上げ、
それでも、
「もう、前へ進むことだけしか考えない」
とした決意を。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

口論

Category : 現代詩




黙れというならば口も噤むが
そうではあるまいお前は。

吐き出された言葉に
飛びかかり
血飛沫を上げる
それがお前の望みだ。

聞かせろと云うならば口も開くが
そうでもあるまいお前は。

こぼれ始めた言葉を
慌てて手のひらで押しとどめ
頬を破裂させんとする
違うかお前は。

痺れた舌先は
既にお前の意思とは無関係に
良心の奥底にあった刃先を
鋭利に舐め上げ
お前自身の胸を切り裂いて
相手の胸を目指す。

(そのひとひらの救いもない言葉は
 お前の切り裂かれた胸の血で既に濡れている)

それが救いだ。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

Bad Valentine !

Category : 現代詩






たった一杯の
ショコラ飲み干して
ナポレオン軍の
雪中行軍も
傍迷惑なほどの
快進撃。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

ブログのことが少しわかってきたので
少々デザインをカスタマイズした。
カウンターもついでにつけて、先月からの来場者数541をセットして
スタート。
ちょっと楽しい。




深夜ベッドに横たわっていると
背中の方から
「過去の過ち」と言う奴がやってきて

(つまりベッドマットの中からだ)

僕の体を羽交い締めにする。
抱きしめられた僕は
恐ろしさのあまり硬直し
息がつげない。

枕もとでコチコチとマーチを奏でていた目覚まし時計の針の音が、
やがてドキドキと脈打つ心臓音に重なり
僕の神経を逆なでする。

僕は
僕による叱責すら恐いので、
いつも
息がつまる寸前に
「過ちの痛手は十分に負ったさ」
と言ったような釈明で
僕が納得する前に無理やり僕を押し切る。

(つまり振り払ってやるわけだ)

するとようやく
僕の体は動くように
なるのだが
そのたびに

未払いの請求書が
懐の中に
山積みになっていくような気がして
ならない。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描 VI

Category : 素描









放送終了後の
テレビノイズを
大衆の歓声と聞き間違えた
寝ぼけ眼の深夜








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

失恋キング

Category : 現代詩





蛇口とマンホールの蓋の
愛らしさについて語り合う従弟妹たちよ聞いてくれ
僕は地下室に恋をして
告白をしたその日のうちに
完膚無きまでにふられてしまった

(縞模様のネクタイはそんなにも悪いのか)

ああ なんてクールなペンキ塗りの鐵扉!
その艶やかなベージュのたまらなさ
エントランス横の下り階段の入り口から
チラリと見えるセクシーさに
僕はすっかりまいっていたのに!

(それともピンクの靴下がまずかった?)

送るなら薔薇よりも60Wの電球だったのよと
蛇口派の従妹が振り返って云った。
マンホールの蓋派はソケットが肝心だと
声をひそめて僕の耳の耳元に囁いた。

(それきり二人はもう僧侶の行進は
「発進」で号令されるべきかどうかを
 議論し始めている)

ああ 僕の麗しの地下室ちゃん!










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

アイロン

Category : 現代詩




アイロンをかけた。
コップを割るのでもなく
眠くて寝たのでもなく
アイロンをかけた。
何にかけたかは覚えていない
いや、何にもかけてはいなかったのだ。
ただ、アイロンをかけた気がした。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

侮蔑の椅子

Category : 現代詩




その椅子は侮蔑の椅子だった。

座らされた僕は
肘掛けに両腕をくくりつけられ
逃げられない。

罵声で浴びせかけられた侮蔑が
顎から滴っている。
焦燥感で
真っ赤に焼けついていた額を
侮蔑が徐々にさましていくのがわかる。

やがて
頭部全体が
鼻先から頬にかけて順に
すっきりと侮蔑は乾いていった。

ほどけ落ちる縄

その椅子は侮蔑の椅子だった。
ただ、不必要であるとはもはや思えなかった。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描 V

Category : 素描









ポケットの中で
指先にキーが触れる
いつもの
あの場所へ行こう。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

ものわすれ

Category : 現代詩





その先は
いつもならば道が続いているはずが
ぷつりと
一枚の白い土塀によって
行く手を阻まれているような
そんな記憶の断絶ぶりなのである。
ぺちぺちと掌で
幾度その冷たい表面を叩いてみても
その先は一向 開いてはくれない。
確かにこの道であるのに
まるで違う場所のようなのだ。
だが、ここなのだ。
しかし道はないのだ
そんな、記憶の断絶ぶりなのである。









テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

発禁絵本

Category : 現代詩





僕の脳髄がすっかり駄目になっちゃった。

まるでバターの様!
まるでバターの様!

(あの路線バスが悪いんだ
 あんまりガタゴト揺れるから
 僕の脳髄は攪拌されて
 トロリとしょっぱいバターになった!)

ホットケーキは何処?










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

溺者

Category : 現代詩






理由はそれだと云って
おまえは
岸辺に降り立った
一羽のカラスを指さした

かつて巷間の病巣の深さに怯え
テレビが直視できない僕を
おまえが、なおも顎先を摑まえて
画面へと押しつけたときのように。

とどまることの決してない流れから
這い上がろうと岸へかけた手を
おまえは
笑いながら踏みつけた。

そう 確かに慈悲の一撃が必要だったのは
この僕のはずだった。
おまえは
笑いながら己のこめかみに銃口を当てて
引き金を引いてしまった。

「もう貴様のことなど見てられない!」

噴出した鮮血が僕の手元を
ヌルヌルに湿らせたので
わずかに岸にかかっていた指が
外れてしまった。

はずみで
頭まで流れの中に身を浸した僕は
ああ 意外にも
その中で呼吸が可能であることに気がついた。

思わず両手で顔を覆うと
血生臭いお前の匂いが
馬鹿めと云った。

「すまない」

僕は押さえつけた指の間から
ようやく謝罪の言葉を漏らすと
貴様のすまないは安いから。
などと呟いて
穴あき髑髏になったおまえは転がっていった。

このヌルついた手では
もう決して岸辺を掴むことは 出来ないだろう。
舐めても
舐めても
おまえの血が僕の掌から 落ちることはないのだから

だが
おまえの死と僕の生とは無関係なものだ。
ましてや
一羽のカラスが僕の理由であるなどと云うことはない。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描 IV

Category : 素描









煙草を吸ってしまったら
自分の中にはもう
煙しか残ってはくれないだろう。
そんな気がしてならない








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

不通

Category : 現代詩




あなたは僕を置いて
鳥になってしまった。
人語の言は
まるで解せぬといった顔をして
小首を傾げ
僕のことを真っ黒な瞳がちの目で見ている。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学





二度と戻ってくるなと僕は言い聞かせたのに
ガランガランとバケツの奴は
あちらこちらをアスファルトにすり減らして
僕の後ろをついてくるんだ。
横断歩道でトラックに轢かれペシャンコにされたのに
奴ときたらまだ追いかけてくるんだ。

(水なんてもう汲めやしない)

「いいかお前は影じゃないんだ」

何遍もそう諭してやったのに
奴はまだ僕の靴底にへばりつこうと
隙を見ると足の下にもぐり込んでくる。
頼むから誰か!
貴様はブリキのバケツだと
そう言って聞かせてやってくれ!
ああ貴様はバケツなのだと!
あるいは
お前はかつてバケツであったと

このブリキのもはや塊に!










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

ロキホラ

Category : 日記

今日は従妹達とその友人とで、池袋でロッキーホラーショーを観劇。
久しぶりに見る古田新太に感激。
ストーリーが変わっていたのが少し残念。元の話が好きだったので。

サイトのメルフォからメッセージをくれたDLAのOG3さん、ありがとう。
たぶん、初めてもらえた感想。感謝。
そのコミックは自分も以前、友人から借りて読み終えました。
懐かしい。おもしろかった記憶。そういえばベルセルクはどうなりましたかね。









Profile

羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師
Twitter→羽島貝@hajima_kai

中年が詩を綴る日々。

Category
Mail

name:
mail:
title:
note:

Calendar
01 | 2012/02 | 03
sun mon tue wed thu fri sat
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 - - -
Search
Monthly archive
"Blog-tomo"

The Lamps of Heaven
Do you become a "Blog-tomo"?

この人とブロともになる

Link
QR
QR