素描XXVI

Category : 素描









眠って起きても
何も変わらない
ドロのように疲れた身体

(そういえば近頃
 朝がこない。
 「さあ一日がはじまるぞ」
 という
 朝がこないのだ)

昨日の延長。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学






陳腐な言葉がすり切れているのは
それが一枚きりの一張羅であるように
何度も何度も
袖を通されたからだ。

その一張羅がすり切れたのならば、
裸でいるか
その辺の葉を一枚ちぎるまでだ。










テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学





踏みつぶされたカブトムシ
絶望的な目で僕を見る少年。

僕と自分の足下とを交互に見つめて
彼は踏み出したその右足を
なかなか上げることが出来ない。

(幸いからの転落)

彼はまだ、僕を見ている。
見ていることしか出来なかった
僕を見ている。









テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描XXV

Category : 素描









嘘で語ろう。
事実よりも真実を。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

行っておりました先週。
体調不良で参った。
週末はほぼ寝込み、先ほど起き出してシャワーを浴びた。
部屋を片付け、シーツを交換しようやくコーヒーを入れて人心地。
これからブログを過去にさかのぼって、ぼちぼち埋めていこうと思う。
それもまた楽しみか。




どうにもならないことの多さ
それに対してのおしよせる不安。
走っても走っても、たどりつけない
終わり。

行き場のない逃げ

どうにもならないことの多さ
それに対してのおしよせる不安。
走っても走っても、たどりつけない
終わり。

やり場のない怒り

どうにもならないことの多さ
それに対してのおしよせる不安。
走っても走っても、たどりつけない
終わり。

すくいようのない哀しみ
それらすべてに対して――――――











テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学







路上に穿った穴に
たっぷりとたたえているのは
ページ、であった。

その紙面に浮かぶ男の背が
見る間に沈んでいったかと思うと、
あっという間に文字だけになった。

そこには

「それは神がすることだから
 素晴らしいんじゃない
 人間がすることだからこそ
 素晴らしいんだ」

の一節が

(もはや誰の一節だったかも定かではない)
 
ふとした瞬間
私の目の前の空間が、紙のように
べろんとむけて
瞬く間に
路上の穴は姿を消した。

春の逃げ水のようだった。









テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

素描XXIV

Category : 素描









1秒でも早くベッドを望む身体に
鞭打ってシャワー。

全ての疲労は、笑顔が噛みつぶして、無敵――――
などというのは幻想だ。

寧ろ人体は正直だ、などと感じながら流水に身体を晒し
サラサラのシーツと、ぽっふりとした枕を夢見ながら
半睡。

明日、ベッドから這いずり出ることが出来ますようにどうかと、
祈るように就寝。

気の早い蛾がテレビのあかりへ集るなまぬるい夜に。








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ジャンル: 小説・文学





その女の胸には
ちょうど心臓のあたりに
黒子が一つあった。

僕は、ああこれを撃てば
よいのだなと思い
撃鉄をおこした。

そのことは些細なことだったのだけれど
一滴のしずくが蟻を溺れさせるように
僕には苦しいものでもあったことは
間違いがなかった。

腐った花が、見苦しかったように。





















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ジャンル: 小説・文学

素描XXIII

Category : 素描









それは静かで音もなくただ光が
まぶしいばかりの静かな光が
無音の光。








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ジャンル: 小説・文学

傷口に愛

Category : 現代詩



傷が治っていない
全然治っていない

僕の傷口ときたら
パックリ開いて

白うさぎの一匹も
しまいこめそうだ。

(痛覚に関しては
 この際、
 熱烈な無関心を
 持って迎えよう)

バンドエイドを
もてあそびながら。







テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学





駐車場を
押していく
ショッピングカートのガラガラと
いう音が、どうしようもなく僕を
さいなむので

バスタブの中へ
身投げしそうだった
日曜日の午後。

雨上がりの路面に
一面散る花びらの中で










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ジャンル: 小説・文学

素描XXII

Category : 素描









ただそうである理由を
他の何者にも説明する気はない
ただ抱えて。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学






空は薄曇り 鴎が低く鳴く

この遠さは
いったい
何だろう

(船ならば汽笛の三度も鳴って
 その間に別れの決心もつくだろうが
 潜水艦ではそうもいかない)

この遠さは
いったい
何だろう

(散る紙吹雪 投げ交うリボン
 黒い群衆の向こうに見慣れた妻の顔が
 妻と 子の顔が 一瞬のぞけた)

“あなた”――――――と。

何だというのだろう
この『遠さ』さは

この距離感をもって
僕は
愛すべき人々を
愛するだろう。

あおきみなもとから



















テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学






言葉に出来ない思いを
深呼吸するように吸っては吐き、
沈め、沈めてゆく
身体の深奥。

取り戻した思考を
手放さずに
それが
自分であることを
やめないための。

赤黒く、どろりとした闇も、
青白く、澄みわたった光も、

おそれずに。
しりぞけて。

二本の足で立っている自分を
感じて。

深く、深く思いの深呼吸を繰り返す
夜明け。













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ジャンル: 小説・文学

素描XXI

Category : 素描









殴られ
首を絞め合い
笑顔で分かれた日。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学






写真一枚の
存在証明を
否定はしないが
肯定もしたくない。

自分が自分であることを証明するために
機関銃を手にしたアフリカの少女の叫びは
「私も人間である」
というアパルトヘイトへの抵抗。

その時少女は14で、僕も14だった
ブラウン管の向こうとこちら。

まちがいなく此処にいる、という証を
握りしめた拳がずきずきと脈打ちはじめる。

てのひらを叩きつけたブラウン管は堅固で生暖かく、
遠い昔叩きつけた誰かの胸板を思い出した。

その誰かの写真は
おそらく残っていることだろう。










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ジャンル: 小説・文学






人は一度すべて崩れ去ってみるべきなのだろうか
君には崩れた僕が
波に

(それは時の波か人の波かわからないが)

流されてしまわぬよう見ていて欲しい。

(あの浜辺に取り残された誰かの作った砂城のように)

僕は
もう一度自分自身を
自分で
かならず
組み立て直してみせるから。










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ジャンル: 小説・文学

素描 XX

Category : 素描









この怒りを
むしゃむしゃと
食いつくしてしまいたい。








テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

Profile

羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師
Twitter→羽島貝@hajima_kai

中年が詩を綴る日々。

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