そこは商店街の真っ只中で
鼠色をした背広を着込み
黒縁の眼鏡をかけた中年男が
下を向いてうろうろしていた。

「どうかしたんですか?」
「ええ、名前を落としたんですよ」
「名刺か名札か何かですか?」
「いえ、ですから名前を落としたんですよ」

その男は
下を向いてうろうろしていた。


テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

Profile

羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師
Twitter→羽島貝@hajima_kai

中年が詩を綴る日々。

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