夢二話

Category : 現代詩

叩きつける雨の中に立ち竦む
なんだかまるまると肥えたNは
白いアンブレラの下で
途方に暮れた顔をしていた

化学のテスト範囲を
聞きに来たのだ。

と云う

他の友人達は皆
何処かへ引っ越してしまって
頼りになるのは
もう
おまえだけなので



そうは云われても
碌すっぽノートも取らない僕も
やはり途方に暮れるばかりだ

   ◎

コンビニの混雑した駐車場で見かけた
Sの姿はすっかり痩せこけていて
Sの父親が運転する車の中に
他人のような顔ですべり込んでいく

僕は

「やあ」と言ったのだが
確かに
「やあ」と言ったのだが

そう言って手を振ったのだが

(赤いブレザー姿の
 Sはなんだか
 1964TOKYOオリンピックみたいで)

そう言って両手を振ったのだが

   ◎

どちらもの友人も
遠い昔に絶交していた

どちらの友人も
昔日の姿ではなく
大人の姿だった

さいわいあれかし


テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

Profile

羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師
Twitter→羽島貝@hajima_kai

中年が詩を綴る日々。

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