郷愁Ⅱ

Category : 現代詩






とめどなくあふれでる涙は
悲しいせいではない。
海に帰る
海に返る
海に孵る
カエルと言う言葉の持つ響きは
悲しい響きではない。
帰る
とは出発点へ再び身を戻すことであり
返る
とは原点の状態にもう一度なることであり
孵る
とはその通り孵化することである
ウミニカエル
と記された場合のその意は
海へ帰るのか
海に返るのか
海で孵るのか
もしくは
産みに帰る
なのか

(ある種のカニはいったい
 海へ産みに帰るのをやめない
 海沿いの車道のアスファルトの上を、
 干涸び、砕け散った殼で
 埋めつくすのをやめない)

とめどなくあふれでる涙は悲しいせいではない、と思う。

自分はまだ
郷愁という言葉を知らない。






テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

眠る海

Category : 現代詩




海底に沈みこむ
深く
鼓動はゆっくりと
静かに
はるか頭上にきらめく波間は
今は遠く
すべての
絶望した眼差しも
憤怒にかかげられた拳も
芥にまみれた明日も
今はどうか遠く
静かな海底に眠り込んで
今は
今だけは
海にたゆたい、いだかれて
今だけは
どうかと
波の音も遠く遠く
静かな
無音の
ああ
ただ海の底で

今はそう
今はそう

眠る海に





テーマ: 自作詩
ジャンル: 小説・文学

Profile

羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師
Twitter→羽島貝@hajima_kai

中年が詩を綴る日々。

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