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羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師

中年が詩を綴る日々。

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希望、そして歩き出す。

コールサック社さんでアンソロジーの公募が始まったようです。
『平和をとわに心に刻む三〇〇人詩集――一五年戦争終結から戦後七十年』
是非是非、みなさまの体験や声を、お送り下さい。

以下、ずいぶん前に紛争や報復など、争いの無情さを形にしたいと綴っていたものです。
自分なりに平和を願う気持ちで書き上げた作品ではあったのですが、
アンソロジーへは主旨違いと思い、以下へそっと載せておきます。
※架空の国と架空の国々を描いたフィクションです。
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『希望、そして歩き出す。/羽島 貝』


その国では

厳しい気候に培われた
厚い自然に阻まれ
文明的に他の国々から
遅れをとっていた。

その国では

富は
常に一部の人々の間を行きかい
そうではなかった人々の下に
降り立つことは決してなかった。

その国では

他国からの独立と自分たちの富を守るため
一部の人々たちの手によって
簡単にして最悪の武器で
密かに国家武装がなされていた。

その国では

そうではなかった人々は
明日の食事にも苦しみ
もはや同国の人間とも争うことを辞さない、という
結論を出していた。

――ある日

そうではなかった人々は
怒りと契機を味方に
自分たちを重圧してきた一部の人々の
あらゆる施設になだれこんだ。

目に触れるもの全てに怒りをぶつけ
およそ自分たちを苦しめてきた原因だと思われる
関係者や関係物を
探り当て
引きずり出し
そのことごとくを破壊し、抹殺した。

破壊の際、機器の一つが誤って作動した。

狂乱のそうではなかった人々は突如
国中に轟きわたる爆音を聞き
空へ立ち上る数百の煙を見たが
何が起きたのかさっぱりわからなかった。
一部の人々は青ざめた顔で空を見上げていた。

その時

全ての施設で
ただの壁だと思われていた一画に
光りが灯った。

そこには

そうではなかった人々とも
まだ生き残っていた一部の人々とも
目の色も
肌の色も
髪の色も
まるで異なる人々が映し出されていた。

「残念なことです」

と、その異なる人々のうちの一人が口を開いた。

「あなた方の国に何が起きたのか
 我が国は知っています

 これは戦争ではありません
 我が国が貴国に対して報復処置をとることはないでしょう
 たった今、通常の迎撃システムも報復プログラムも



 すべて解除しました



 地上の破壊を最小限に抑えるためですが
 これは貴国の照準先となった他の国々も同様です

 これからおそらく気の遠くなるほど
 長い冬が訪れるでしょう
 想像を絶するような世界が始まるでしょう

 私たちもできうれば
 あなた方と共に生き延び
 地上の復興に参加したいのですが

 おそらくそれは不可能です

 私たちは、あなた方が生きのびることを願っています
 どうかこのメッセージを大切に受け止めてください
 私たちが、あなた方の生きのびることを
 望んでいるということを……」

悲しげな顔だった。
次の瞬間
画面は真っ白に光った。

そして 

そうでなかった人々と
まだ命のあった一部の人々が顔を上げた時
画面にはもう砂嵐のようなものしか
映ってはいなかった

その国では

以前にもまして厳しい気候に培われた
厚い自然に阻まれたが
文明的に他の国々から
遅れをとっていることは

最早なかった。









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テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学