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羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師

中年が詩を綴る日々。

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痛みのソテー


もしも失敗をしたならば
その痛みをソテーしよう
舌の上へと噛みしめるんだ
ギュッとばかりにその味を

(どこまでが正解の旨味で
 どのあたりが誤答のえぐみなのか)

混在する正と誤を
舌の上で吟味したなら
もう大丈夫

後はそう

痛みのソテーを
嚥下するだけ。

(明日の血肉と化すために)

テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

愚者の行進


そこでつまづいたのならば
転がればいいじゃないか
派手にもんどうりうってみせて

もう一度
立ち上がればいいじゃないか

それから
さあ膝を払って
歩き出すんだ

(ちょっとぐらいの間なら
 振り返ってもいいだろう)

真っ直ぐに。
前だけを向いて

テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

荊の冠







あなたから荊を賜り戴くとき
こうべを垂れて
頭上にかざされた荊を持つ
あなたの指を突き刺した
荊の棘から滴る血を
眺めている






テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

スコールが遮断させた。

雷鳴と驟雨が
僕達の会話を遮断させた

一時はガラスのレモンをナイフで剥くような
そんな音階を声色に重ねかけていた

路上で

雨垂れが苦笑をともなって
降りそそいだ

(体温に温まった滴は
 頭から首筋を伝って
 鎖骨へと流れ込む)

僕達は

次の稲光を待たずに
目配せし合い
ドトールの軒下へ駆け込むんだ



テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

青空を傷口につめて



吐き出された君の言葉が
アスファルトに叩きつけられ
散弾となって
僕の胸を撃ち抜いた。

ぼっかりと空いた穴から
せめて
青空が覗けばいい



後悔しきった君の顔を見て
僕は許すしか道がなかった。



テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

桜散るこの風の中僕は


それでもと叫ばれた言葉が
君に
大量のビー玉を飲み込ませた

最早世界を愛することが
かなわなくなった君に
寄り添って立つ僕は
スケアクロウほどの役にも立たない

(君の髪を啄むカラス一羽追い払うことも出来ずに)

桜散る風の中

沈む陽を
ただ
目で追いかけている。




テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

歩く


ボロボロになった半身を
抱えあげて歩いてゆくしかない。

(他ならぬそれも自分)

そこらに放り出すことも出来ない。
ただ重い足取りは

(別にゴルゴダの丘を目指しているわけではない)

ひとえに
愛する人の元へ帰るために。





テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

一掴みの寂寥

言葉を

放り投げた後の
てのひらに残る
一掴みの寂寥

届いたろうか



空を仰ぐ

手のなかはもう
からっぽなので
君から届く言葉を待つばかり

(この時間は
 風邪をひいて
 熱が通りすぎるのを
 毛布をひっかぶって
 待っている時間に似ている)

このてのひらを
広げて
僕は待っている


テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

ガラスの小壜

吹く風が
睫に触れた瞬間
即座に凍りつく雪原で
裂けたクレバスが
熱い血をたたえている。

僕は君がくれた言葉を
ガラスの小壜に詰めて
クレバスにそっと投げ入れた。

(はねたオレンジ色の滴が僕の右頬と右目を焼いた)

半顔の微笑みを
君に届ける
のは
それでも凍った睫でいるよりは
よほどいいのだから

君に説明する言葉を
僕はまるで持っていなかった

(頭上、碧空。
 摂氏マイナス測定不能)

血の流れに乗って、ガラスの小壜は鼓動に揺られながら流れていく
のは
僕の希望

どうか心臓に届けと





テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

一本のペンが、綴るうた。







森が海を守るように
あなたも
遠いところの
誰かを
守っているのかも知れない。

(それは空を飛ぶ鳥が俯瞰したところで
 あずかり知らないところの事象なのだけれど)

遠い何処かで

(でも確かに)

微笑が生まれる。





テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

希望、そして歩き出す。

コールサック社さんでアンソロジーの公募が始まったようです。
『平和をとわに心に刻む三〇〇人詩集――一五年戦争終結から戦後七十年』
是非是非、みなさまの体験や声を、お送り下さい。

以下、ずいぶん前に紛争や報復など、争いの無情さを形にしたいと綴っていたものです。
自分なりに平和を願う気持ちで書き上げた作品ではあったのですが、
アンソロジーへは主旨違いと思い、以下へそっと載せておきます。
※架空の国と架空の国々を描いたフィクションです。
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『希望、そして歩き出す。/羽島 貝』


その国では

厳しい気候に培われた
厚い自然に阻まれ
文明的に他の国々から
遅れをとっていた。

その国では

富は
常に一部の人々の間を行きかい
そうではなかった人々の下に
降り立つことは決してなかった。

その国では

他国からの独立と自分たちの富を守るため
一部の人々たちの手によって
簡単にして最悪の武器で
密かに国家武装がなされていた。

その国では

そうではなかった人々は
明日の食事にも苦しみ
もはや同国の人間とも争うことを辞さない、という
結論を出していた。

――ある日

そうではなかった人々は
怒りと契機を味方に
自分たちを重圧してきた一部の人々の
あらゆる施設になだれこんだ。

目に触れるもの全てに怒りをぶつけ
およそ自分たちを苦しめてきた原因だと思われる
関係者や関係物を
探り当て
引きずり出し
そのことごとくを破壊し、抹殺した。

破壊の際、機器の一つが誤って作動した。

狂乱のそうではなかった人々は突如
国中に轟きわたる爆音を聞き
空へ立ち上る数百の煙を見たが
何が起きたのかさっぱりわからなかった。
一部の人々は青ざめた顔で空を見上げていた。

その時

全ての施設で
ただの壁だと思われていた一画に
光りが灯った。

そこには

そうではなかった人々とも
まだ生き残っていた一部の人々とも
目の色も
肌の色も
髪の色も
まるで異なる人々が映し出されていた。

「残念なことです」

と、その異なる人々のうちの一人が口を開いた。

「あなた方の国に何が起きたのか
 我が国は知っています

 これは戦争ではありません
 我が国が貴国に対して報復処置をとることはないでしょう
 たった今、通常の迎撃システムも報復プログラムも



 すべて解除しました



 地上の破壊を最小限に抑えるためですが
 これは貴国の照準先となった他の国々も同様です

 これからおそらく気の遠くなるほど
 長い冬が訪れるでしょう
 想像を絶するような世界が始まるでしょう

 私たちもできうれば
 あなた方と共に生き延び
 地上の復興に参加したいのですが

 おそらくそれは不可能です

 私たちは、あなた方が生きのびることを願っています
 どうかこのメッセージを大切に受け止めてください
 私たちが、あなた方の生きのびることを
 望んでいるということを……」

悲しげな顔だった。
次の瞬間
画面は真っ白に光った。

そして 

そうでなかった人々と
まだ命のあった一部の人々が顔を上げた時
画面にはもう砂嵐のようなものしか
映ってはいなかった

その国では

以前にもまして厳しい気候に培われた
厚い自然に阻まれたが
文明的に他の国々から
遅れをとっていることは

最早なかった。









テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

夕間暮れ、途方に暮れる

部屋の片隅で
縮こまる
丸くなる
凝縮する
手を伸ばし指を
開く
閉じる
次は足の指を

なんのために生きているんだろうと
途方に暮れる。

選択肢に、もはや死は無い

(その生殺しのいただけなさは
 誤って飲み下した出来たてのコーンスープ)

なんだか喉が焼けるようなものを、飲み下す。

部屋の四角い壁は
夕間暮れのグレー
明日を生きるために

今、生きている。


テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学