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羽島 貝(hajima, kai)

Author:羽島 貝(hajima, kai)
1973年 東京生まれ
代表著書:羽島貝詩集『鉛の心臓』
日本詩人クラブ会員
日本現代詩歌文学館振興会会員
球体関節人形師

中年が詩を綴る日々。

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音楽が聞こえてこない




音楽が聞こえてこない

ソファの裏から
テーブルの下
冷蔵庫の中
昨日買ったばかりの
リンゴを割ってみても
けれど音楽が聞こえてこない

(飛ぶ鳥を見なくなった空で
舞う蝶を見なくなった野辺で)

走ってはとまるを繰り返す
まだ音楽は聞こえてこない

(路面を水滴が
 穿ち始める
 雨だ!)

僕はピアノを持っていないので
可愛いあの子に借りてみる

(そして黒鍵と白鍵の間を覗き込んでみる)

時に突っ伏した床板に
耳を押しあてて

でも音楽が聞こえてこない。

首から「音楽を探しています」と書いた
看板を下げて駅前に立ってみる。

(コインは幾枚か頂いけたけれど)

音楽が消えたこの世界で
僕はどうにも途方に暮れる



その時 遠くで聞こえ始める子どもたちのハミング



わずかな手がかりを掴んで
今。





テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

『海の詩集』に参加させていただきました。

uminoshishu_20160520202703469.jpg

アンソロジー詩集
『海の詩集』
編者:若宮明彦・佐相憲一
A5判/272頁/ソフトカバー ISBN978-4-86435-247-5 C1092
定価:1,620円(税込)

参加させて頂きました。羽島は第4章に載せて頂いています。




テーマ:刊行案内
ジャンル:小説・文学

素描LIII







見えなかった楽譜を
奏でる君のピアノは
絶大な自信と誇りに満ちて
どうにも僕を
責め苛んだ










テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

トップフォト7

袋田1

以前、学生時代の友人達とドライブ。
袋田の滝まで行ってきた。
これは、物見台への途中休憩所のような所で
パチリ。










テーマ:ある日の風景や景色
ジャンル:写真

素描LII



君が
病院の待合室に流れる
音楽のような眼差しで
僕を見るので

たぶん









テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

レター

失った言葉達を
チョークで道路に
叩きつけていると
無情にもスコールが
すべてを流し去っていって

(けれど
 心の何処かで
 それを心地好いと
 感じたのも確かで)

白濁した水溜まりの中
僕は幸福感に
抱きとめられていた


テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

素描LI



もう一度
もう一度と
望み
願い
乞いても
すでに戻らないことは
わかっている。






テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

パラソル、行き過ぎて後。


「そこまでだ」

と叫ばれたある日の午後
声の主を探して
足元の影を覗き込んだ
路上で
僕は途方に暮れていた
(せっかくの警告も
 伝わらなければ意味は無い)
すでに
空から降ってきた
2本の矢が
僕の両足をアスファルトへと縫い止めていたので
何を
何をだと
心の中でつぶやくも埒はあかない
けれども
心の何処かで自覚も確かにあるにはあるのか
人違いだと叫び返すことも出来ない
(じりじりと日は射して
 まるで僕の焦燥感)
パラソルをさした君が
軽やかに目前を通り抜けるのを
ただ
ただ
見つめながら
「君の声ではなかったよね?」

確認することも出来ずに

(どうかあの日あの眼差しで
 一瞥をくれたあの時の君に
 僕はもはや届けようのない謝罪を
 唱え続けている)

「そこまでだ」

と叫ばれたある日の午後
手遅れな言葉の山を抱いて
いまだ
両足は2本の矢に
縫い止められたまま


テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

素描L







どんなにか待っていた
解答を
ボールのように放る君
のびやかに弧を描いて
(すべての方程式はその中に)
賞賛されるべきは
時間という点において
すでに
リミットはギリギリだった
ということ






テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

ホイップクリームで包まれた何か

声が
囁きが
泡のように小さく寄せ集まって

届いてほしい

スプーンいっぱいにすくい取った
ホイップクリームをほおばる君に










テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

愚者と砂糖菓子

何処にも行き場がない
義憤だとか多分そんなものが

たかだかテレビをながめやるだけで
愚かしくも僕の中になだれ込んで
ネット上の容赦ないニュース画像にうちのめされて

それが世の中だと言う言葉で
ひとくくりにされて

山積みの裁判記録を延々と
読みあげるだけ
(判決を下すでも答弁をするでもなく)

客観性が足りない

それは、自分と他者の線引きが足りない
ということで

つまりは自我の確立を!

と 
いまだ声高に胸の内で叫ばなければない
幼稚な自分を

知識の壁でコーティングしても
空洞ならば
ウィスキーボンボンの方が
まだましで

何処にも行き場がない

いまだ



テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学

スウィーツ・フェティシズム

投げかけられた言葉に
差しだした傘
滴となって転がり落ちる言葉は
甘やかなキャンディに変わればいい

ワードプロセッサに
打ち込まれていく言葉
幾重にもファイルを重ねて
出来上がるドレープは
ミルフィーユにも似た

(震える唇が紡ぐ言葉は、
 口の端についたバニラのように
 溶け出して)

よく冷えたサイダーが
爽快な言葉をはじかせて
そうしてすべてを
流し込んで

でも

僕は甘いものは不得手で
きっとそれが
喋り下手の原因。



テーマ:自作詩
ジャンル:小説・文学